
ハートフル短編
その涙、買い取ります
涙を買い取る不思議な青年と、こぼれた想いに向き合う人々を描く心温まる短編。
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とある町の商店街のはずれに、とても小さなお店があります。 ガラス戸には、ちょっと風変わりな一枚の紙。
『その涙、買い取ります。』
店主の名前はトオル。 悲しい涙も、嬉しくてこぼれた涙も、そっと小瓶に集めて預かる青年です。
仕事や友だち、家族、将来のこと。 胸の中がいっぱいになってしまった人たちが、ふらりとこの店を訪れます。 トオルはただ静かにその人の話を聞き、こぼれた涙を「大切なもの」として買い取っていきます。
預かった涙は夜になると屋上でそっと空へと放たれ、小さな光になって星空のどこかでまた瞬きはじめます。 そんなちょっと不思議で、でもどこか懐かしくなるようなお話です。
人の涙を見送ることには慣れているトオルにも、実はずっと『通らないまま抱えこんでいる涙』があって……。
